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営農指導員育成研修で”農業ICT事業”への理解深める

2019.9.3

生産者(左側)の説明を熱心に聞く参加者ら

 8月27日・28日の2日間、営農指導員育成研修がJA愛知研修所で開かれ、2日目には当JAのICT担当者による講義と、全部会員が農業ICTツールを導入するJA西三河きゅうり部会のほ場を視察しました。先進的な生産現場への理解を深め、今後の栽培指導へ活かしていきます。

 この日、県下16JAの営農指導員をめざす33人がJA本店を訪れ、西尾市で展開する〝現場のニーズを形にした農業ICT事業〟を学びました。営農部営農企画課の太田知宏課長が、管内農業の概要をはじめ、栽培技術の高度化に向けた取組み、未来志向の産地形成について紹介。栽培技術の高度化に向けた取組事例では、ハウス環境の見える化と部会内での情報共有を可能とする環境測定器「あぐりログBOX」や、栽培情報の蓄積・分析を行い、リアルタイムで生産履歴を確認できる食・農クラウド「Akisai(秋彩)」の活用を取り上げました。太田課長は「産地で共通した農業ICTツールを活用することは、栽培に対して同じ尺度の物差しで様々な切り口から比較することを可能とし、農家間での話題も共通化して栽培検討会などのグループ活動の活性化につながる」と説明。またスマート農業の加速化を背景に、「一長一短で取組みがスタートできる訳ではなく、データの積上げが重要で、如何に早くからデータを蓄積し、活用ノウハウを持つかが鍵となる。そのために、生産現場の声を聞きだす営農指導員の役割は重要」と話しました。

 その後、参加者は同部会に所属する羽佐田文彦さんのほ場を視察。羽佐田文彦さん、プロジェクトリーダーの羽佐田稔さん、昨年度に栽培委員長を務めた小林光弘さんの3人が、部会内での農業ICTツールの活用について紹介しました。参加者からはICT機器の導入効果や使用方法に関する質問が上がり、羽佐田稔さんは「同条件のグループごとで温度・湿度・二酸化炭素濃度の変化をグラフ化しているため、自分が気づかないところも周りが教えてくれる。生産者同士の会話は、いつもこれがベースになっている」とあぐりログBOXの果たす役割を説明しました。

 同部会は2015年より部会全体で農業用ICTツールを活用し、技術力の高い農家による栽培環境・肥培管理のノウハウを共有。さらに国による「スマート農業技術の開発・実証プロジェクト」の採択を得て進める実証事業「ICTに基づく養液栽培から販売による施設キュウリのデータ駆動経営一貫体系の実証」が今年6月より始まり、先進農家の知恵を共有し産地のさらなる高度化を図っていきます。