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施設きゅうりの養液栽培技術確立へ、今年も実証試験スタート

2020.10.2

養液ベンチへ苗を定植する下村さん(右)とJA職員

 JA西三河きゅうり部会は愛知県やJAあいち経済連、種苗会社と連携を取り、農業ICTツールを活用した養液栽培の実証試験に取り組んでいます。養液栽培で得られた根域環境データを産地で共有し、土耕栽培へフィードバックして部会全体の収量向上を目指します。
 取組5年目を迎えた今年は、西尾市で冬春きゅうりを栽培する5人の生産者のもとで実証を行います。例年9月下旬から10月初めの定植前に、農家とJA職員が協力して養液ベンチを設置。今年は養液栽培で使う苗と培地、点滴チューブ等のベンチ資材をJA共済連の地域・農業活性化活動助成金を活用して購入しました。9月30日には実証試験に取り組む下村堅二さんのハウスで、養液ベンチへの定植が行われました。
 養液栽培は肥料を水に溶かした培養液で栽培する方法。国内でのきゅうり生産は土耕栽培が主流であるため、まだ普及していないのが現状です。産地に適した養液栽培技術を確立することで周年栽培を実現。雇用等の課題を解決し、経営高度化の足掛かりとすることも目的のひとつです。養液栽培とICTを組み合わせることで地上部(ハウス内)の環境制御に加え、地下部の根域環境を制御。「あぐりログBOX」が24時間集めたハウス内の環境データと、植物体が吸収した水や肥料の量を把握することで、生育状況を予測し生育の最適化を実現します。

 JAでも生産技術の標準化と向上をめざし、2016年より食・農クラウド「Akisai(秋彩)」と環境測定器「あぐりログBOX」の活用をスタート。植物体の根域環境のコントロールを目的に、生産部会と協力してきゅうり養液栽培実証試験に取り組んでいます。きゅうり部会の他にもイチゴ、トマト、ハウスイチジク、バラ、菊の各部会で農業用ICTツールの活用が進んでおり、管内での利用数は「Akisai」56名、「あぐりログBOX」141台。温湿度やCO2濃度等の環境測定データや栽培履歴を共有し栽培技術の可視化を図り、持続可能な農業生産を支えていきます。